トライバルラグと日本人の暮らし

 これまでどうして暮らしにトライバルラグが無かったのか?

日本では暮らしの中に羊毛や絹の絨毯は一般的ではありませんでした。
日本人の居住の歴史と生活様式は「立ち振る舞い」などの伝統的な座の文化との関係が深かったようです。

今後は「しつらい」など日本独自の伝統的な文化なども考慮しながら「住」のあり方を提案して行くことができれば思っています。
西アジアの遊牧民は胡坐(あぐら)などの言葉が示すように、床(絨毯)に坐する生活を続けてきました。文化としての「坐」の暮らしについても考察したいと考えています。
(胡瓜、胡麻など西方から来たものに「胡」という漢字が充てられています。)

昭和の高度経済成長時代を経て、洋風な住環境に変化した日本人の都市型の暮らしですが、敷物に関してはむとんちゃくであったように感じます。
本格的に手織り絨毯が日本に輸入されてから30年ほど経ちますが、世界各地へのの手織り絨毯の広がりに比べ、日本ではかなり偏った絨毯しか紹介されてこなかったように思います。

インテリアとして輸入された最初の絨毯は中国段通でした。その後はバブル期と共に流通したペルシャ絨毯、十数年には全国的なギャベブームがありました。
どれもが手織り絨毯ですが、どうも売り手の利益に繋がるような絨毯ばかりだったように思います。

この数年でトライバルラグや遊牧民のラグという言葉が少しづつ認知されて来ましたが、本来の生活の道具として織られたラグの背景について、日本語での情報はまだまだ少ないのが現状です。

直線が多い日本の住空間にも似合うデザイン、機密性が高く冷暖房が完備された現代の室内に適した手織り絨毯とはどんなモノなのか?
私たち日本人の暮らしに合う絨毯を紹介して行きたいと思っています。